日本の妖怪・幽霊

野寺坊(のでらぼう)

「野寺坊(のでらぼう)」は、日本の地方や山間部で語られる恐ろしい都市伝説で、人気のない野寺(廃寺)に住み着く不気味な僧侶の姿をした霊や妖怪とされています。野寺坊は、特に夜になると廃れた寺の近くで出没し、通りかかる人々に怪異をもたらす存在として知られています。見た目は人間に似ていますが、どこか不自然で異様な雰囲気を漂わせ、近づくと災いに巻き込まれると言われています。

「野寺坊」の特徴

薄汚れた僧侶の姿

野寺坊は、古びた僧衣に身を包み、頭には笠を被っていることが多いです。しかし、近くで見ると僧衣は汚れており、髪や肌が異様に白かったり、腐敗の臭いがしたりと、どこか人間とは異なる不気味さがあります。笠をかぶっているため顔がよく見えないことが多く、顔を覗き込むと目がぎょろりと光ることもあると言われます。
その姿は、長年人知れずその場に佇んでいるような古ぼけた佇まいで、見た者は不安感や恐怖を感じるとされています。

人気のない廃寺や墓地に現れる

野寺坊は、廃れて誰も訪れなくなった寺や墓地、山中の小道に姿を現すことが多いです。特に、長年放置されて苔や草が生い茂る廃寺に現れることが多く、夜中に寺の周辺を歩いていると、ふと目の前に立っていることがあります。
野寺坊は、まるでその寺を守り続けるかのように佇みますが、実際には人を遠ざけるために現れるとも言われています。

通りかかる人に「尋ねてくる」

野寺坊に遭遇した人には、よくわからない質問を投げかけられることがあるとされています。たとえば、「この先に何があるのか」「帰る道を知っているか」など、話しかけてくる内容は一見普通に見えますが、どこか異様な響きがあるため、普通の人間とは異なる感覚を覚えると言います。
この質問に答えてしまうと、野寺坊に取り憑かれるか、悪霊のように災いをもたらすとされ、無視して立ち去ることが推奨されています。

姿を消したかと思うとまた現れる

野寺坊のもう一つの不気味な特徴は、消えたと思ったらまたすぐそばに現れることです。特に、振り返った瞬間に再び目の前に立っていることがあり、気づくと背後や視界の端に野寺坊の姿が映ることがあるといいます。
一度見かけると何度も目の前に現れるため、「何をしても逃げられない」という恐怖が付きまといます。

関わると不幸や不運が続く

野寺坊と関わると、怪我や病気、仕事や人間関係のトラブルなど、不運が続くと言われています。また、夜中に不気味な夢を見るようになったり、野寺坊が夢に出てくることもあり、そうした夢の中でも逃げられずに追い詰められる恐怖を味わうとされています。
そのため、野寺坊と関わらないことが何よりも重要とされています。

「野寺坊」にまつわる怖い話

体験談 1:「山道での出会い」

ある登山客が、日暮れが近づく中で山道を下っていたところ、山奥の廃寺のそばで見知らぬ僧侶に出会いました。その僧侶は、ぼんやりとした笑みを浮かべながら「この先には何がある?」と尋ねてきたため、登山客は道を教えようとしました。しかし、僧侶の顔がやけに蒼白で、目がぎょろりと光るのを見た瞬間、彼は直感的に恐怖を感じ、無言でその場を立ち去りました。

その後も登山客は数日間にわたって夜中に不気味な夢を見続け、その夢の中で何度もその僧侶が現れ、「教えてくれ」と繰り返してくるのです。最終的に神社でお祓いを受け、ようやく夢は収まりましたが、今でも山道を歩くことができなくなってしまったといいます。

体験談 2:「墓地のそばの野寺坊」

ある村に住む若者が、夜遅くに墓地の近くで野寺坊に遭遇しました。その野寺坊は静かにこちらを見つめながら「どこに行くのか?」と尋ねてきました。若者はそれに答えようとしましたが、何かに圧倒されるような気配を感じ、黙ってその場を後にしました。

しかし、それ以来、夜中に家の中で何かが動く音が聞こえるようになり、ふと見ると廊下の端に野寺坊の影がぼんやりと立っているのを目撃しました。その後、彼は高熱にうなされる日が続き、再び野寺坊の影を見ると恐怖で震え上がり、村を離れざるを得なくなったと言います。

体験談 3:「古い寺の守り人」

あるグループが山中の廃寺を訪れた際、薄暗い本堂の隅に野寺坊のような僧侶が静かに立っているのを目撃しました。彼らは恐れを感じ、すぐに引き返そうとしましたが、友人の一人が好奇心からその僧侶に話しかけ、「ここで何をしているのですか?」と尋ねてしまいました。

すると、その僧侶は無言で彼らを見つめ続け、やがてふっと姿を消したのです。その後、その友人は体調不良や仕事でのトラブルに悩まされるようになり、再び野寺坊が夢に出てくると怯えていました。最終的に彼は心の安寧を求めて神社に通い、供養を受けることになりましたが、その経験を機に誰も古い寺に近づこうとしなくなりました。

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