産女(うぶめ)
「産女」の特徴
赤ん坊を抱いた女性の姿
産女は、赤ん坊を抱えた女性の姿で現れることが特徴です。夜の道端や橋の上、墓地などに佇んでおり、泣きながら赤ん坊を抱えていることが多いです。着物が濡れていることもあり、青白い顔に血色のない手でしっかりと赤ん坊を抱きしめている様子が、不気味さと哀しさを同時に感じさせます。
産女の赤ん坊は人間の赤ん坊とは違い、どこか異質な存在感を持ち、よく見ると赤ん坊ではなく「塊」に見えるという話もあります。
通りかかる人に赤ん坊を抱かせようとする
産女は通りかかる人に「この子を抱いてください」「少しの間だけ」と赤ん坊を渡そうとします。最初は弱々しい頼み方ですが、拒否すると徐々に声の調子が変わり、執拗に赤ん坊を抱くよう要求してきます。
赤ん坊を抱かされると、次第にその重さが増し、抱えている人の体力を奪っていくといわれています。最終的には動けなくなってしまい、疲弊した状態で命を落とすこともあるため、絶対に赤ん坊を抱いてはいけないとされています。
泣き声やうめき声で引き寄せる
産女は夜道や山道などで、遠くから「赤ん坊の泣き声」や「女性のうめき声」を発し、通りかかる人を引き寄せようとします。泣き声は次第に激しさを増し、無視しようとすると耳元で直接響くように聞こえてくることもあるとされ、恐怖心を増幅させます。
こうした声に誘われて立ち止まったり、近づいたりすると、産女が姿を現し、赤ん坊を抱くよう要求されることになります。
母親としての執念や怨念を持つ
産女は、死ぬ間際に生まれた子供や育てられなかった赤ん坊に対する母親としての執念や無念を抱えた存在です。このため、無理にその怨念を解こうとするのは危険とされています。産女の思いは非常に強く、関わるとその怨念に取り込まれてしまうことが多いといわれています。
また、産女が生まれる背景には、家族や社会の支援が受けられなかった不遇な状況があるため、その悲劇性が人々の心を掴みやすく、同情が恐怖と交錯する存在でもあります。
産女と目を合わせると逃れられない
産女に遭遇した際、目を合わせると産女から逃れることができないとされます。目を逸らそうとしても視界の端に現れ、じっとこちらを見つめ続けているといわれています。このため、産女を見かけたら決して目を合わせず、その場を離れることが勧められています。
「産女」にまつわる怖い話
体験談 1:「深夜の山道での出会い」
ある男性が、深夜に車で山道を走っていると、道端に着物を着た女性が赤ん坊を抱えて立っているのを見かけました。驚いた男性が車を停めて声をかけると、その女性は「この子を少しの間抱いてくれませんか」と弱々しく頼んできました。
気味が悪くなって断ろうとすると、女性の声が徐々に低く響き渡るようになり、「お願いです、この子を…」と迫ってきました。怖くなって車を発進させましたが、バックミラーには女性がじっとこちらを見つめ続けている姿が映っていたそうです。その夜以来、男性は体調を崩し、数週間にわたって悪夢に悩まされたといいます。
体験談 2:「橋の上での産女」
若いカップルが夜のドライブで川辺にかかる橋を通った際、橋の中央で子供を抱いた女性が立っているのを見つけました。心配になった男性が車を降りて声をかけると、女性は涙ながらに「この子を少しの間抱いてください」と頼んできました。
彼が仕方なく抱くと、赤ん坊の重さがどんどん増していき、腕が痺れるほどの重量に感じられたため、驚いて赤ん坊を放り出してしまいました。その瞬間、女性は激しく怒り、「どうして捨てるのか」と叫びながら姿を消しました。それ以来、彼は体調が悪化し、奇妙な影が彼の周りを付きまとい続けているといいます。
体験談 3:「泣き声の正体」
ある若い女性が夜中に自宅で休んでいると、遠くから赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。気のせいかと思っていたものの、泣き声はどんどん近づいてきて、最終的には耳元で聞こえるほどになりました。怖くなって部屋を飛び出しましたが、その先に産女の姿が現れ、「この子を抱いて」と頼み込まれたのです。
必死に逃げ帰った彼女は、次の日から眠るたびに同じ泣き声が聞こえるようになり、精神的に追い詰められる日々を送ることになったといいます。
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