黒塚(くろづか)
「黒塚」の特徴
人里離れた場所に住む鬼婆
黒塚に現れる「鬼婆」は、山中にぽつんと立つ一軒家や洞窟に住んでいるとされます。見た目はやつれた老婆の姿で、表情が無表情か、不気味なほどに薄く微笑んでいることが多いです。
老婆は一見して普通の人間に見えることもありますが、何か異様な雰囲気を漂わせており、特に目が異様に光っているため、近づくと強い恐怖を感じさせます。
道行く人を家に招き、休ませる
黒塚の伝説では、鬼婆は山中で道に迷った旅人を見つけると「休んでいきなさい」と自宅に招きます。一見親切に見えるが、その目的は旅人をもてなして油断させた後、命を奪うためとされています。
彼女の家に足を踏み入れた旅人は、まず温かいもてなしを受けますが、夜になるとその態度が一変し、命を狙われる恐怖に晒されることになります。
正体は人を喰らう「鬼婆」
黒塚の鬼婆は実際には人間ではなく、人間の肉を食らう鬼や妖怪とされています。夜になるとその本性を現し、凶暴な姿で旅人を襲い、血や肉を貪るといわれています。
特に、眠っている旅人のそばで包丁を研ぎながら「肉を喰らう準備」をする姿が恐ろしく、物音に気づいて目を覚ました旅人はその凶器を持った老婆の姿を目の当たりにし、命からがら逃げるとされています。
隠された「骸の塚」
伝説によれば、黒塚の鬼婆の家やその周囲には、過去に彼女が襲った人々の遺体や骨が埋まっている「骸の塚」があるとされています。これが「黒塚」と呼ばれる所以であり、黒塚はただの一軒家ではなく、恐ろしい犠牲者の眠る場所として、訪れる人に不吉な印象を与えます。
その塚の前で怨霊の声やすすり泣きが聞こえるといわれ、そうした怪異が訪れた人々をさらに恐怖に陥れます。
逃げ出すのが非常に困難
一度鬼婆に狙われると、黒塚から逃げ出すのは困難とされています。たとえ家から抜け出しても、山中で道に迷ったり、暗闇に鬼婆が追いかけてきたりといった恐怖が待っています。
さらに、黒塚から逃げ出したとしても、その後も鬼婆の呪いが残り、怪我や事故、不幸が続くと噂されており、一度関わると取り憑かれるような不安を感じさせます。
「黒塚」にまつわる怖い話
体験談 1:「山中の老婆の家」
あるハイカーの男性が、山中で迷った際、偶然一軒の古びた家を見つけました。中には老婆が一人で住んでおり、彼を温かく迎え入れて休む場所を提供してくれました。しかし、夜中に不意に目が覚めた彼がふと目を向けると、老婆が包丁を研ぎながら「今日は肉がたくさんある」と不気味に呟いているのを見て、彼は恐怖で動けなくなりました。
その後、老婆の気配が離れた隙を見て、彼は命からがら逃げ出しましたが、それ以来、何度も老婆の姿が夢に現れるようになり、精神的に追い詰められてしまったといいます。
体験談 2:「黒塚の骸の塚」
若いカップルが黒塚の近くを訪れ、興味本位で「骸の塚」の噂を確かめに行きました。塚の周りは異様な雰囲気で、何かが潜んでいるかのような不気味な気配に包まれていたそうです。やがて、彼らはすすり泣きのような声を耳にし、塚の周りで人影が揺れているのを見て、慌てて逃げ出しました。
その後、彼らは体調不良や悪夢に悩まされ、特に彼女は何かに取り憑かれたかのように夜中に泣き出すようになり、最終的には精神的に不安定な状態に陥ったといいます。
体験談 3:「鬼婆の包丁」
一人旅をしていた女性が、山道で道に迷った際、親切そうな老婆に出会いました。老婆は家に招き入れ、食事を提供してくれましたが、その後、寝室で休んでいた女性は夜中に金属音を聞き、包丁を研ぐ老婆の姿を見てしまいます。
不安に駆られた女性が逃げ出そうとすると、老婆は一瞬にして彼女の前に立ちはだかり、「帰るなら代わりに肉を置いていけ」と言い放ったといいます。必死に逃げ出した女性は、その後も耳元で包丁を研ぐ音が聞こえるようになり、精神的に追い詰められた結果、帰り道でも事故に遭いかけるなど、不運が続いたそうです。
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