日本の妖怪・幽霊

船幽霊(ふなゆうれい)

「船幽霊(ふなゆうれい)」は、日本の海や川にまつわる古い都市伝説や怪談の一つで、特に船にまつわる恐ろしい霊的な存在として知られています。船幽霊は、水難事故や溺死した霊が成仏できず、海や川を彷徨うようになったものとされ、遭遇すると船を沈められる、災難が降りかかるなどの恐れがあるとされています。現代でも、船幽霊に関する目撃談や体験談がネット上で話題となっており、漁師や船乗りたちにとっては特に恐怖の存在とされています。

「船幽霊」の特徴

水中から現れる亡霊

船幽霊は主に夜中や霧が立ち込める海上、あるいは川の中に現れると言われます。その姿は、人間と変わらない場合もあれば、青白い顔、ぼんやりと光る目、または濡れた着物を着た不気味な姿で目撃されることが多いです。
特に、夜の航行中に突然、船の横や水面に顔を出して「何かを持ち上げるように手を差し出してくる」姿で現れることがあり、船幽霊の手を取ってしまうと船が沈むとも言われています。

「柄杓(ひしゃく)」を持ち、水をかけてくる

船幽霊は柄杓を持って現れることが多く、その柄杓で船に水をかけることで船を沈めようとするという話が有名です。柄杓には穴が空いていないため、船にかけられた水がどんどん船内に溜まり、最終的に沈没させられてしまうとされています。
こうした船幽霊の行動に対抗するため、「底に穴の開いた柄杓」を船に備え付けておくと、船幽霊が混乱して去っていくというおまじないも広まり、今でも漁師たちの間で語り継がれています。

「船幽霊に遭うと災難が続く」

船幽霊に遭遇すると、その後も不運や災いが続くとされています。例えば、遭遇した日のうちに嵐に見舞われたり、漁で不漁が続いたり、健康や人間関係にも悪影響をもたらすことがあると言われます。
そのため、船乗りたちや漁師たちの間では船幽霊の噂が怖がられ、海に出る際には特に注意するべき存在とされています。

孤独な霊や未成仏霊の集合体

船幽霊は、特定の個人の霊ではなく、さまざまな水難で命を落とした霊が一体となって現れる集合体の霊とも言われています。特に江戸時代などの古い時代には、嵐や事故で多くの船が沈んだため、そのような事故で亡くなった人々の無念が集まって船幽霊となったと考えられています。
また、海上で供養を行わなかったり、事故の後に慰霊がなされなかった霊が船幽霊になるとも信じられています。

特定の海域で現れることが多い

船幽霊は特に事故や水難が多発した「曰く付きの海域」や「危険な川」で現れることが多いと言われます。こうした場所では、地元住民や漁師たちの間で船幽霊の噂が語り継がれ、恐れられています。
現代でも、漁師たちの間で「この海域には出やすい」などの噂があり、特定の場所では特に警戒されることが多いです。

「船幽霊」にまつわる怖い話

体験談 1:「嵐の夜の遭遇」

ある漁師が嵐の夜に漁を終えて港に戻る途中、突然、水面から青白い顔をした人影が現れ、船の縁に手をかけてきました。その人影は柄杓を持っており、船に水をかけ始めたため、漁師は恐怖で凍りつきました。しかし、咄嗟に持っていた「底に穴の開いた柄杓」を投げ渡すと、船幽霊は柄杓を受け取ってその場から消えたといいます。

漁師は無事に帰港できましたが、それ以降も夢の中にその青白い顔が現れるようになり、数週間にわたって悪夢に悩まされたといいます。この話は地元の漁師たちの間で語り継がれ、嵐の日には特に注意を払うようになったといいます。

体験談 2:「海上での供養が足りない」

ある船員が勤務中に夜の航行で船幽霊を目撃しました。水面から腕だけが伸び上がり、船に向かって手招きするような動作を見せたため、彼は船を避けて進むように指示を出しました。しかし、その後も船の周囲を白い霧が覆い、不気味な囁き声が聞こえたといいます。

その出来事の後、船の乗組員が次々と体調不良に見舞われ、事故も続いたため、最終的に海上での供養が行われました。供養を行ってからは現象が収まりましたが、船員たちはそれ以降も、霧が出る夜の航行を避けるようにしているといいます。

体験談 3:「川での奇妙な影」

ある地域では、川で小さな船を出すと必ず「水中からの手」に遭遇すると言われています。特に夕暮れから夜にかけての時間帯にその現象が多く見られ、川面から現れた白い手が水をかき回したり、船を引き込もうとしたりするのを目撃した者も多いといいます。

ある日、地元の若者が実際に船を出し、川で遊んでいたところ、突然水中から手が伸びてきて船を揺らし始めました。驚いた若者が声を上げると手は消えましたが、その後も地元の人々の間で「川で遊ぶと船幽霊に遭う」という噂が広まり、夜の川遊びは避けられるようになりました。

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