日本の妖怪・幽霊

飛頭蛮(ひとうばん)

「飛頭蛮(ひとうばん)」は、日本や東アジアで伝えられる怪異の一つで、その名の通り「飛ぶ頭」という特徴を持った不気味な存在です。飛頭蛮は、首が胴体から離れて空を飛び回る姿で現れ、特に夜に活動するとされます。恐ろしい見た目や、人に取り憑く、災いをもたらすといった話から、現代の都市伝説としても話題に上がりやすい存在です。

「飛頭蛮」の特徴と噂

胴体から首だけが飛び回る

飛頭蛮は、夜になると首が胴体から外れて自由に飛び回る姿で現れるとされます。首が浮遊する際には髪が空中に広がり、目は光り、不気味な笑みを浮かべているといわれることも多いです。
また、胴体はその場に置かれたままで、首だけが飛び回るため、胴体が見つかれば持ち主の正体を突き止められるとされていますが、見つけても手出ししないほうが良いともいわれます。

人に災いをもたらす

飛頭蛮は、遭遇した人に悪夢や体調不良を引き起こすと言われています。特に、首だけの状態で窓から侵入したり、寝ている人の周囲を飛び回ったりすることで、恐怖や不安を植え付け、心理的な影響を及ぼします。
さらに、飛頭蛮を見たことで「不幸が続く」「身近な人が亡くなる」といった噂もあり、ひとたび目撃されると悪いことが連鎖すると恐れられています。

正体は呪術や霊力を持つ者

飛頭蛮は、呪術や特殊な能力を持つ者が自らの意思で頭を飛ばしていると考えられています。中には、呪いをかけたり、人に災いをもたらす目的で自らの首を飛ばし、夜な夜な飛び回っているとされることもあります。
特定の儀式を行った呪術師や霊能力者が飛頭蛮の正体である場合もあるとされ、その者は昼間は普通の人間として生活しているため、表向きでは分からないことが多いと言われています。

音もなく現れ、突然消える

飛頭蛮は音を立てずに空中を移動し、ふと気づくと目の前に浮かんでいることが多いです。特に夜の窓辺や屋根の上で目撃されることが多く、いきなり視界に現れるため恐怖を感じやすい存在です。
さらに、目が合うと突然消えてしまうことも多いため、実体があるのかどうかもわからない、非常に不気味な存在として認識されています。

特定の風習や儀式に結びついている

飛頭蛮の話は、日本だけでなく、他のアジア諸国にも類似の伝承があり、特定の風習や儀式と結びついて語られることもあります。例えば、東南アジアでは「ペナンガラン」という飛頭蛮に似た妖怪が伝えられており、呪いや霊的な力を持つ人物が変身する存在とされています。
こうした伝承は、日本でも不気味な妖怪や霊的な存在とされるため、飛頭蛮が呪いや悪霊に関わっていると恐れられています。

「飛頭蛮」にまつわる怖い話

体験談 1:「窓に現れた首」

ある家族が、真夜中に家の窓から「首だけの人影」を目撃しました。首には目と口があり、微笑むようにじっと家の中を覗き込んでいたといいます。驚いた家族が窓を閉めようとした瞬間、首は消えるようにその場から去っていきました。

その後、家族は奇妙な体調不良や不運に見舞われ、数週間にわたり悪夢に悩まされるようになったといいます。最終的には地元の神社でお祓いをしてもらうことで不運が収まりましたが、それ以来、家族は夜中に窓の外を見ることを避けるようになったといいます。

体験談 2:「夜中の屋根裏からの視線」

ある学生が夜中に寝ていると、ふと天井から視線を感じ、目を開けると首だけの顔が自分を見下ろしていることに気づきました。顔はにやりと笑い、ゆっくりと天井に戻っていったといいます。

驚いて部屋を飛び出した彼は、その日以降も何度か悪夢にうなされ、健康も徐々に悪化しました。後に霊媒師に相談すると、「飛頭蛮に目をつけられている」と言われ、供養のための儀式を行ってもらうことでようやく症状が改善しましたが、その時の恐怖は今でも忘れられないそうです。

体験談 3:「取り憑かれた家」

ある家族が新しい家に引っ越してきてから、夜になると「首だけの浮遊する影」が家中を飛び回るようになりました。特に子供部屋では、その首が窓の外から見えたり、壁に不気味な顔が映ることが頻発したため、家族全員が不眠症に悩まされるようになったといいます。

やがてその家族は家を離れる決意をしましたが、新しい住人もまた飛頭蛮の影に悩まされたといわれ、地元では「飛頭蛮に取り憑かれた家」として噂が広まるようになりました。最終的に家は取り壊されましたが、夜中にその跡地で首だけの影が見えることがあると今もささやかれています。

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