日本の妖怪・幽霊

小幡小平次(おばたこへいじ)

「小幡小平次(おばたこへいじ)」は、江戸時代に実在したとされる人物で、劇場や都市伝説、怪談の題材として語り継がれる幽霊話のひとつです。彼は、裏切りや愛憎から無念の死を遂げ、その怨念が幽霊となって現れるという伝説が生まれ、現代でも怪談好きや都市伝説のファンにとって有名な存在です。

「小幡小平次」の伝説と特徴

裏切りと無念の死

小幡小平次は、江戸時代に芝居役者や浪人として知られた人物で、美男子であったとされています。彼は恋愛関係や仲間内での裏切りにより、栃木県日光の温泉地で非業の死を遂げたとされます。
小平次は友人や知人に騙され、温泉地で無惨に殺害され、遺体は山奥や沼地に遺棄されたとされています。このように、裏切りと強い怨念を抱いたまま命を奪われたことで、幽霊として現れるようになったと伝えられています。

怨霊として出現

小平次の霊は、怨念から強い力を持つ怨霊となったとされ、彼を裏切った人物や彼の死に関わった者たちに対して容赦ない復讐を遂げたと伝えられます。関わった者たちは次々と恐ろしい死を遂げたり、行方不明になったりと、無念を晴らすために霊として現れる話が語られます。
特に、彼の死に関わった者が「小平次の姿を見た」「夜中に声を聞いた」と怯えたまま亡くなったという逸話が多く、彼の霊が強い怨念を持つものとして広く知れ渡るようになりました。

「見越し入道」としての姿

小幡小平次の幽霊は、しばしば「見越し入道」のような巨大な姿に変わり、人々に恐怖を与えたとされています。これは、相手が見上げても見上げてもどんどん背丈が伸びるという妖怪で、恐怖を倍増させる存在です。小平次の霊もこうした姿で現れるとされ、実際に遭遇した者は恐怖に駆られ、逃げられないという話が多く語られています。

芝居や物語としての広まり

江戸時代、芝居や読み物を通じて「小幡小平次」の幽霊譚が広まりました。歌舞伎や講談などで取り上げられ、その物語は怪談として親しまれるようになりました。特に、歌舞伎の演目「小幡小平次の幽霊」は人気を博し、恐怖を描く怪談の代表的な演目となりました。
物語では、小平次が壮絶な怨霊となり、裏切った者たちに復讐する姿が描かれ、観客を恐怖のどん底に突き落とす内容で、当時の人々に強いインパクトを与えました。

現代に続く目撃談や体験談

小幡小平次が怨霊として残っているという噂は、現在でも語られています。特に、彼が殺されたとされる栃木県日光の一部地域では、今でも「小平次が現れる」と噂され、霊感の強い人や夜間にその場所を訪れる人の間で「小平次の姿を見た」「声を聞いた」という話が広がっています。
現代でも、温泉地やその周辺で怪奇現象が報告されることがあり、特に夏の怪談シーズンには小幡小平次の話が取り上げられることも多いです。

「小幡小平次」にまつわる怖い話

体験談 1:「温泉宿での奇妙な体験」

ある観光客が小幡小平次が怨霊となったとされる日光の温泉地を訪れた際、夜中に妙な気配を感じました。ふと目を覚ますと、誰もいないはずの部屋の隅に人影が見え、その影がどんどん大きくなっていくのがわかりました。恐怖で体が動かなくなり、声も出せなくなった彼は、気を失う寸前までその影を見続けるしかありませんでした。

翌朝、宿のスタッフにそのことを話すと「ここには小幡小平次の霊が出ることがある」と告げられ、彼は二度とその温泉地には行かないと心に誓ったといいます。

体験談 2:「夜中の足音」

小幡小平次が怨霊となったとされる温泉地に泊まった若者グループが、深夜にどこからともなく足音が響いてくるのを聞きました。最初は気のせいだと思っていましたが、次第に足音は彼らの部屋の前まで近づき、誰かが戸をノックしてくるような音がしました。

部屋を恐る恐る覗いてみても誰もおらず、その後も足音が消えることはなく、彼らは一晩中怯えながら朝を迎えたといいます。この話が広まり、「小幡小平次の霊が現れたのではないか」と語られるようになりました。

体験談 3:「背丈が伸び続ける影」

ある霊感の強い人物が日光の温泉地で「見越し入道」のような巨大な影を見たと言います。彼が夜中に一人で歩いていると、ふと道の先に人影が見え、その影は見上げても見上げても背丈が伸び続け、やがて彼を覆い尽くすほどの大きさになったといいます。

恐怖に駆られた彼はその場から逃げ出しましたが、後になってそれが小幡小平次の怨霊だと知り、再びその場所を訪れることを避けるようになったそうです。

!

本サイトに掲載されているすべての内容の著作権は運営者に帰属しております。
本サイトの掲載内容(画像、文章等)の一部及び全てについて、無断で複製、転載、転用、改変等の二次利用を固く禁じます。 上記著作権の無断複製、転載、転用、改変等が判明した場合は、法的措置をとる場合がございます。